大判例

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東京高等裁判所 昭和56年(ラ)710号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

(一) 抗告人らは、相手方らは本件敷地上に本件建物を建築すべく、昭和五六年五月二日、本件敷地の北側に隣接する本件隣地上に建築されている原決定末尾添付第二目録(二)記載の建物(通称「朝日新橋ビジネスマンション・東新橋ビル、」(以下「朝日ビル」という。)の区分所有者全員(抗告人らを含む。)を構成員とする「朝日新橋ビジネスマンション・東新橋ビル管理組合」(以下「管理組合」という。)との間において、本件建物建築工事の用に供する足場を設けるため、本件隣地南側の空地部分につき賃貸借契約を締結したが、管理組合は右契約締結に際し、同組合規約四六条による総会の決議を経由せず、かつ、建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)一二条二項の特定利益者である抗告人らの同意を得ていないから、右賃貸借契約は無効であり、したがつて、抗告人らは相手方らに対し本件隣地の共有者として同地への立入り禁止を求め得る旨主張する。

しかし、本件疏明によれば、朝日ビルの敷地の管理は、管理組合規約六条、八条により管理組合の業務に属するものとされているが、右規約に敷地の管理につき総会の決議を要する旨の定めは存しないこと、抗告人ら主張の賃貸借契約は、相手方らが民法二〇九条一項に基づく隣地使用権を背景に本件隣地の使用を要望して来たところから、管理組合が理事会の決議を経たうえ、相手方らとの間において締結したものであることが一応認められ、右契約の締結をもつて管理組合規約四六条六号又は八号所定の管理組合総会の決議を必要とする事項である「共用部分の変更に係る方針の決定」(六号)、「その他組合員の共同利益に係る事項」(八号)に当るものと解することはできない。けだし、法にいう「共用部分」とは、法自らその意義を定めている物件であつて、その中に建物の敷地が含まれると解する余地はないというべきであるから、管理組合規約四六条六号所定の「共用部分」も、右規約に別段の規定がない以上、建物の敷地を含むものではないと解されるし、また、右規約同条八号にいう「組合員の共同利益に係る事項」とは、きわめて概括的な文言であり、これを広く解するときは、敷地及び建物の共用部分の「共同使用に伴う建物区分所有者(組合員)の共同利益を維持するため必要な協議および業務を行うことを目的とする」(右規約二条管理組合の業務のすべてが総会の決議事項となり、適当でなく、むしろ、右条項は、管理組合の業務執行機関である理事会(右規約五〇条)において、区分所有者の共同利益に係る事項の種類、性質等に照らしその総員の意思によつて決すべきものと定めたものを指称すると解するのを相当とするところ、本件においてそのような理事会の決議があつたことを認めうる資料はないからである。また、法一二条二項及び一三条二項が特定利益者たる区分所有者の個別的同意を必要としているのは、敷地の管理についてではなく、建物の共用部分の変更又は建物の共用部分の管理に関する事項についてであることが明らかである(右共用部分の意義については前に述べたと同様である。)。したがって、抗告人らの右主張は採用することができない。

(蕪山厳 浅香恒久 安國種彦)

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